不思議なラブライブ!スーパースター!!

前回の記事で虹ヶ咲スクールアイドル同好会について書いたが、当然のように現在放送中のラブライブ新シリーズ「ラブライブ!スーパースター!!」も楽しく視聴している。こちらはおそらくこれまでのいわゆる「ラブライブ」的展開が予想され、実際従来ファンはよりラブライブらしいと感じているらしい。

 

確かに登場キャラのポジションは初代ラブライブに登場したキャラポジションに寄せているように感じる。なんとなく中心にいる主人公、サポートの手厚い幼馴染、スクールアイドル大好きキャラ、お笑い(?)キャラ、一旦邪魔してくる生徒会長と、性質が分離してたりもするがそれにしても心当たりがありすぎるのではないだろうか。

 

そんな一見代わり映えしないスーパースター!!の一番の特徴は、グループの人数が5人ということ。これまでのシリーズでは必ず9人のスクールアイドルが登場していたが、なんと約半数にしてきた。最初はキャラ考えるのめんどいのかなとかプロモーション上9人は多すぎるのかなとか考えた。実際、9人の部活加入物語を12話でこなしているのは少し無理があったようには思う。ノリで入ったメンバー意外と多かったし。

 

スーパースター!!では従来シリーズに比べて主人公の質の向上が見られる。今作の主人公、澁谷かのんはシリーズ初音楽的素養のある主人公となっている。とある問題はあるが、歌にかなり才能がある描写がなされている。これはダメダメな(もしくは日常に退屈している)主人公がスクールアイドルに感動して頑張るこれまでのラブライブシリーズとは非常に異なっている。

 

この差異が、スクールアイドル活動に対しての姿勢、感情に一定のリアリティを付与したように思う。これまでの主人公は唐突にスクールアイドルに憧れるため、視聴者は正直一旦置いてけぼりになっていた。その後の積極的活動を見て、もっと何かしらあったろ!とも思ってしまう。本作においては、すごく嫌な見方をすればかのんにとってスクールアイドルとは歌うための手段なのだ。彼女の中には「歌を歌いたい」という軸があり、それに向かって努力をしていた下地がある。そこに自分が再び歌えるようになった理由としてスクールアイドルをもってくることで興味を持たせている(すごくしつこい勧誘もあったが)。しかしこれはやり方を間違えると大事故を起こす展開だ。本当に好きでやってる人を馬鹿にすることにつながる可能性があるからだ。この問題を、かのんの真面目で義理堅い性格を押し出すことで解消している。歌を歌いたい自分を救ってくれたスクールアイドル様という感謝と義理、自分で始めたことはやり通そうとする真面目さ、他人を利用することを良しとしない男気で、当初はスクールアイドルが手段であったとしても尊敬尊重し行動するであろことが読み取れる。つまり、元気いっぱい!周りに迷惑かけるけど一直線!はもうウケない、理解が難しいと判断し、現実にいる程度の努力や挫折、真面目さを押し出すことでキャラクターの心の流れに現実味を付与することに成功したように思う。

 

というところまで考えた。まぁそんなこと考えなくてもスーパースター!!はとても面白いししっかりハマっている。キャラクターの行動や考え方も現実的になっているし、ギャグシーンは従来作品より自然に笑える気がする。あと、なんと言っても澁谷かのんちゃんがいろいろとにかく可愛いのでぜひ見てほしい。