今今更更リコリスリコイル

どうも天邪鬼なもんで、何でか流行っているモノ・コトに対して手を出したくないという気持ちになる。実際は手を出したくてしょうがないのに、いやいや流行ってるもの知らない自分が素敵だという、気持ち悪い感情を優先してしまう。

 

そんなわけで、数ヶ月前よく名前を見たアニメ、リコリスリコイル。少なくとも私が観測する範囲では話題に上がらなくなってきたので、当初の予定通りしっかり手を出してみたのであった。

 

ある意味、よく見る設定なのかもしれない。

・ちょっと一般人には敵わないような強い人を育成している、殺しもようやる組織がある

・その中でもめちゃ優秀だった奴は、組織と噛み合わなくて離反している

・最強ちゃんは心も最強

・関係性の深かった人たちと、一見普通のお店をやっている

とにかく実質この世の誰も敵わない人間が普通の生活をしてるってやつ。

特異なのはこれを女の子達でやってるというだけ。実はそうでもないのだが、メインとしてはこれ。

 

ちょっと話は逸れるけど、最強ちゃんが冴羽リョウとまぁまぁかぶっていると思う。バカ強いけど明るくて普通に街で生活していて街の色んな人と面識がある。メンタルに多少弱点はあるが、滅多なことではそもそも弱点に到達し得ないところなど。

 

さてさて話の始まりは、組織に忠実で昇進したい・成果を上げようとはしている・クソ真面目だが規律違反は平気でする、といった微妙に食い違った設定を持つ問題児が、あまりにも問題児であったため、組織をクビに。ただ完全にクビだとアレだったから、最強ちゃんのところで頑張ってこい的な感じ。

そこで出会った最強戦士との交流で、ちょっとずつ心に変化が現れる~っていう、全体的な展開はよくあるよね~って誰もが思うはずの流れで物語は進んでいく。

最終的にはとんでもなく面倒な敵が出てきたから、組織が(形としては)最強ちゃんに手を貸してもらって万々歳。多少の成長をした問題児ちゃんも活躍してよかったよかったである。

 

高い評価は本物ですごく楽しかったし、全話一気に見れてしまった。

一番良かったのは、鬱陶しくなかったこと。簡単に言えば、5話で生まれる疑問は大概5話の中で解消されるのだ。こいつ怪しいよなってやつはちゃんとストレートに怪しいやつで実は~っていうのがほとんどなかった。

これを12話続けていたので、情報量は意外と多くてその点では一気見はちょっと大変だった。

でもなぜか次の話が気になるのだ。構成が上手かったんだろうと思う。専門的なことは知らない。でも上手かったんだろうとしか考えられない。それくらいのめり込めた。

 

悪いところは、とにかく問題児ちゃんとラストバトルの決着の仕方。

アニメ・マンガの問題児ちゃんって、外から見てる分にはかわいいものだったり、道徳的には本人が正しくて組織が間違ってる、という風に描かれるものだと思う。

だが、この作品の主人公たる問題児ちゃんはガチで問題児。挙げたらキリがないが、とにかく「(特殊部隊に近い性質の)組織の中で這い上がりたい!」と(序盤は)思っている人間のはずなのに、独断で動く、評価されなければ上司に殴り込み。隊長に規律違反を怒られた分、喧嘩で殴り返してスッキリする。

見ていた限りでは、「何かに依存していないとダメ」プラス「自分勝手」という描写の結果なのかなと思った。この微妙な描写のため、主人公2人だけが組織の女の子と比べて可愛くデザインされているのかもしれない。可愛い子がブスに正当に注意されたから、可愛い子がブスをボコボコにする。アニメのブスは敵に見えるから、良い手段かもしれない。

ともかく、問題児ちゃんは気持ちのいい人間ではない。組織の女の子達と比べても特に何かがあったという描写もないので、特に同情するポイントもない。無口・バカすぎる以外で職場にいてほしくないって思ったキャラクターは久しぶりかもしれない。

 

ラストバトルの決着は本当に良くなかった。

最強ちゃんは殺しをしたくないから、組織を抜けたという部分がある。

だから剣心みたいな不殺の人なのだが、結果はともかくどう見てもラスボスを殺しにいってしまっているのだ。見た人は分かるだろう。あれだけ「殺しはダメ!」って言ってた奴が締めのシーンでめっちゃ殺しにいってるのだ。状況は状況だけど、これまでの最強ちゃんの意思はどこへいってしまったの?って思った。不殺は作品内の大きなテーマでもあり、なんとかして殺す以外の方法で決着させる必要があると思った。実は人知れず生きていたので殺していないのだが、彼女や味方の視点ではどうあがいても殺している。何よりこの決着に関して何かを思う描写もなく、しつこく描かれていた不殺というテーマはどこかへ置いてかれてしまった。なんなん?

 

まぁそんな感じで、パッと見はかなり良い、ちょっと考えると「ん?」って思うところが出てくる、いいアニメでした。