成功の母は失敗でしかありえない

ここ10年くらい、書店に行くとよく見かけるタイプの本がある。それは、最近上手いこと成功した人の体験談系のものである。もちろん、元々こういった成功者の本は有名企業の社長のものを中心に出版されていたが、最近はさらに目立つようになった。これは、会社的な成功者だけでなく個人事業主として成功した人が増えたからだろうと思う。

 

基本的にいいことだと思う。色んな人の人生や試行錯誤を知るということは、経験を増やすことにほかならないからだ。私のような人間はそれをありがたく頂戴したい。だが、これに感銘を受け、人生の指針とする啓発本のように扱うのは非常に危険だと思う。

 

近年増えたタイプの成功者は、そのベースを構築したとは言い難いのだ。例えば、いま若年層に人気のYouTuberはいい例だと思う。彼らはYouTubeやその他配信サイトに依存したスタイルをとっているにも関わらず、その開発や世間への浸透に関わったとは言い難い。つまり、彼らの成功は偶然YouTubeが成功したことに大きく依存しており、計画性があったというにはあまりに偶然に頼った行動をしているのだ。彼らが常に最善の行動をしていたとしても、YouTubeが消えた途端全てが霧散する可能性がある道のりだったということになる。

 

これは成功物語とするには十分すぎることだが、成功体験とするにはあまりにも根拠に薄い成功ではないだろうか。