フリーレン視聴者反応の謎

今回はいろいろ見てて、葬送のフリーレンそのものではなく、読者視聴者の反応でピンとこないところがあったので記録。

 

アニメから入ったので、話数等はアニメ基準で。

違和感が強烈だったのが、14話で「やっぱりヒンメルはフリーレンのこと好きだったんや!」系のリアクションが多く見られたこと。14話はザイン初めてのシュタフェル喧嘩仲裁、アイゼンのフリーフォール、鏡蓮華の3本立て。確かに、ここで表現として直接的に恋愛に触れたことにはなる。前半でシュタルクとフェルンの喧嘩を未熟な恋愛のようにザインが茶化すのを通して、恋愛を意識しやすくなり流れとしてもグッと持っていかれたなぁと思う。表現としては自分も好きだし、とてもロマンチックだと思う。

 

ただ、ここでヒンメルの気持ちに対して声があがるのは本当に意味が分からない。しかも、だとしたらそれまでのヒンメルの行動を完全に読み違えていることになる。

 

まずスタートの時点で、ヒンメルは50年もの間フリーレンを気にかけていた事実に気付くはずである。再会したときの彼のなんとも言えない表情をどう読み取ったのか。漫画でもアニメでも何かは感じるはずである。君は普通の友達(連絡は取れない)にそんな感情を抱けるというのか。

自身の銅像に関しても(彼のナルシストなところもあるが)、明確にフリーレンのためと発言している。

前話13話で投げキッスにあえなく撃沈するヒンメルも描かれている。これはヒンメルの気持ちを前提にしたコミカルなシーンなのだから、これをどう受け止めたのかも気になる。

その他回想で現れる度に、基本的にはフリーレンの未来を守る行動をしている。あんなに強大な魔法使いに対してである。生きるのにヘルプなど必要ないレベルの存在だ。ヒンメルは当然承知の上で、フリーレンを守ってあげたいのだ。これはフリーレンを女性として見ていなければ発生しないことなのだ。

 

そもそもストーリー自体が、ヒンメルの気持ちがフリーレンの寿命に耐えうるのか、ヒンメルが悩んでしまったところに根差している。確かに何でもかんでも恋愛に繋げるのはどうなの?というのも分かるが、創作ストーリーで男の行動指針に対する大きな動力は恋愛であることが本当に多いのだ(現実でも往々にしてあるが)。そして葬送のフリーレンでは、ヒンメルのそれを確定情報とするために、少なくとも14話までに多くの時間を使っていたはずなのだ。これがいまいち伝わっていないことに驚きが隠せない、ということ。

 

唯一の問題は、この回想は本当に正しいのか、というところだけである。作中には意外と覚えられていない勇者パーティの面々、名を忘れられた英雄、現実とだいぶ異なる英雄譚に大切なものを忘れたフォル爺など、過去の記録、記憶は曖昧ですよ、という味付けもされている。フリーレンの回想は彼女の良いように改変されてはいないか、という疑念を抱かせるには十分なギミックがある。これだけは本当に分からないのでなんとも言えないが。

 

あと、一番なんとも言えないのがフリーレン側からの感情。これは本当に分からん。なんなら本作品で一番最後に明かされる謎かもしれないとすら思う。なぜなら、エルフは人間と比べて感情の起伏が少ないと明言されてしまっているからだ。普通の人間である自分には、想定もできないのであった。