虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会を見てみた話

久しぶりにアニメをちゃんと見た。

その名も虹ヶ咲スクールアイドル同好会、かつて一斉を風靡したラブライブシリーズの続編。どうやら、過去作品との繋がりは大してないようなので、過去作をしっかりとは見てない自分もちゃんと理解できた。

 

全体を流れるストーリーというほどのものはなく、各話毎に部員一人一人がスクールアイドルという部活動を通したり通さなかったりして自分の問題に向き合う、青春アニメだった。過去作にあったような部活成立のための勧誘活動はほとんどなく、個々人の悩みにフォーカスしていていた。アイドルユニットでなくソロアイドルの集合体として描かれていたため、ありがちな上手くできない誰かが足を引っ張ってうんぬんカンヌンという展開もなく、すごくライトにまとめた青春ストーリー。

 

 

 

 

 

だと思っていた。

 

 

多数のキャラがほぼ平等に扱われていて、波風も立たずフラットに進行していたはずが10話から一転。

物語進行、賑やかしに徹していた主人公ポジションである、上原歩夢と高咲侑が(噂の11話で)派手にやらかす。

高咲侑はアイドルではないマネージャー的ポジションではあるが、アイドルたちの悩みを解決する主人公。上原歩夢は高咲侑の幼馴染で、スクールアイドルになることに興味を抱くキャラ。メディアではセンターに置かれる、主人公ポジションにいるキャラ。

 

この上原歩夢が曲者だった。一話で高咲侑にスクールアイドルへの関わりを本格化させるキッカケにはなったが、それ以降は特に何もしないのだ。過去作ではこのポジションにいるキャラが中心に立ち回っていたが、本作ではそれを高咲侑が担っている。役割ないじゃん!

 

なんと彼女の役割は、幼馴染が他のスクールアイドルに入れ込むと嫉妬することだった。各話で不穏なリアクションを取ることが多かった彼女が、11話にて爆発した際の発言を素直に受け止めれば、自分を一番に応援してほしい、というもの。恋愛ものであれば普通に起こる展開で、分かりやすい。そしてこの解決方法は、君が一番だよ、とわかってもらうことだ。

 

ところが、この作品では解決方法がどうもそのように捉えられない。とあるキャラから「好きになったことには全力で取り組むべし」と言われて納得、解決したように見えるのだ。これは一体どういうことなのか。

 

この話が分かりにくくなっている原因は、上原歩夢が爆発した原因がめちゃくちゃ分かりにくいこと。表面上他所の女に浮気した幼馴染(女)に当たり散らしたことになっているのだが、彼女の独白から察するに「幼馴染が新しいことに夢中なこと、価値観の変化」プラス「幼馴染のことが一番大切なはずなのに、他にも大切なものができつつある自分の変化」から生じる『幼馴染との距離の変化』に不安を感じることが原因だったようなのだ。他の女に浮気していることはそんなに大きな問題ではなかったのだ。

 

これが何故わかりにくいのか。それは、上原歩夢自身がスクールアイドル活動に対してどう思っているか、この時点まで全く分からないからだ。アニメであればモノローグやそれこそ独り言でキャラクターが何を思っているか分かるものだが、上原歩夢にはこれが全くと言っていいほどなかった。こうなると、不穏な空気になるのは高咲侑が他のアイドルに対して自分が見たこともない態度を取る瞬間のみになるのだ。これでは恋愛的嫉妬が原因で爆発したように見えても仕方がないのである。

 

一番最初の上原歩夢の不穏なリアクションは、中須かすみのアイドルっぽいキャラ付けに対する、高咲侑の「かわい〜」的反応に対するものだった。単なる嫉妬であれば頬を膨らませてやればいいのだが、そうではなく「えぇ…(呆れ)」とか「えぇ!?」みたいな反応をしていた。これは嫉妬というより困惑が強く表れているように思う。この積み重ねであれば、やはり嫉妬という線は薄いように考えられる。(最後のトリガーだった10話中盤のリアクションだけは恋愛感ありすぎるのだが)

 

結局好きになったものは仕方なし、とことん向かうべしと、変化することを受け入れましたオチなんだろうと個人的には推測している。種明かしから解決の展開がやや性急だったのかもしれないが。

 

でも全体的に絵もきれいで、ライブシーンのCGなんかもこんな綺麗にできるの!?と感心した。キャラの思考はかなり現実的で、悩みもいかにも現代的で分かりやすかった。キャラも立ってて見やすいアニメだった。

 

 

ちなみに推しは上原歩夢ちゃんです。