ウマ娘の春となぜ

ウマ娘プリティーダービーがものすごく流行っている。それはそれはすごい勢いだ。私はリリースされたソシャゲはとりあえず触ってみる派の人間。操作感は結構いいしキャラが可愛いパワプロと見なせばかなり長続きするゲームになるだろうなと思った。ところがどっこい、その好評ぶりは歴史的なもので、やってないオタクはいないんじゃないかってくらい爆発していた。つい先程、一月の売上が昨年の白猫プロジェクト一年の売上を大きく上回るなんてツイートも見た。ちょっと下品な比較をするなぁと思ったが、本当に皆さんハマっている。私もそれなりに楽しんでプレイしている。ストーリーは一文も読んだことがないが、この手の育成は大好き。可愛い女の子のパワプロだもの。頑張れ僕のサイレンススズカ

 

ところで、どうしてウマ娘プリティーダービーはここまでヒットしたのだろうか。これは結構難しい問題なのではないだろうか。ということで、爆発しそうな要素を考えてみた。

 

 

要素1 元ネタ(?)が人気

非常に素直に受け入れられる要素である。これで大ヒットした代表格といえば間違いなくFate Grand Orderだろう。Fateシリーズの特徴である、平行世界という名のご都合主義を活かしきって背景の濃いキャラクターを増産、人気No.1候補の一つだろう。FGOもリリース当初から多くのプレイヤーを獲得している。

では、ウマ娘はどうだろうか。当初の計画とは食い違っているという話も聞いたが、ともかく現実としてアニメが先にありゲームがリリースされた。アニメの人気はいかほどだったろうかと思い返してみると、こんなことになるほど人気があったとは言えないだろう。少なくとも特別に話題に上がったというほどではない。ヒットの要素としてはあんまり目立たないように思う。

 

 

要素2 ゲームとして優秀

ソシャゲもゲームなのだから、これも受け入れやすい。もちろんソシャゲとしてのゲーム性。

 

いいところ

実際プレイすれば分かるが、タップに対する反応は良好、エリアも大きくとられており操作は快適。数あるソシャゲの中でもトップクラス。

育成とレースを繰り返すことになるが、ストーリーやレースはスキップ可能で、周回プレイへの配慮はバッチリ。

可愛い女の子がチョロチョロ動くのもいい。もっと可愛くなる。

育成は安心と信頼のパワプロ方式。少し単調な感は否めないが周回前提の育成ゲームとしては理想的と言える。

 

わるいところ

育成キャラとサポートキャラ、それぞれのステータス確認画面がホーム画面から少し時間がかかる。

スキルの発動条件が分かりにくい。特定の距離や作戦でのみ発動するスキルがあるのだが、これがスキル長押しして詳細を表示しないと確認できない。

自分の手から離れ過ぎている。育成はパワプロシステムそのもの。自分で練習を決め、スキルを獲得し、レースに出るが基本。もちろんラッキーイベントやガッカリイベントもあり、結構運に左右される。ここまではいいのだが、レースではプレイヤーは何もできない。馬主のような感覚になれていいのかもしれないが、自分でコントロールできる部分が少ないように感じてしまう。

育成する理由が希薄。同様のシステムのパワプロでは、理想の選手9人を揃えて最強チームを作る!というわかりやすい目標があるが、ウマ娘ではチームを作るということに対して動機付けが難しい。システムとしては各適正距離の馬を作りなさいということになっているが、感覚の問題である。

競馬ノー知識だと分かりにくい。当然各所に競馬用語が出てくるのだが、これがいまいちピンとこないときがある。特にスキルの説明文。直線やコーナーはどれくらい重きを置くものなのか、その重要度はレースの距離によって違うのか、先行や差しはどのあたりで仕掛けるものなのか、そもそも平坦に見える競馬場に上り坂下り坂なんてあったのか、ではどのコースに坂があるのか、など。

 

わるいところが多く見えるが、慣れてしまえば解消されるものが3つ、一緒にやる仲間がいれば気にならないものが1つ、なので実際には大きなストレスはないと思われる。唯一残る「自分の手から離れすぎている」だが、これは同系統の先発人気ソシャゲ、アイドルマスターシャイニーカラーズとの差別化かなと考えたが、これがまたゲーム性とは別のところで面白いことになっている。これを狙ってやってたら天才。

総じていいゲームなのは間違いないが、信じられない!死ぬほど神ゲーやん!というほどではない。最終的に売れることは想定できるが、ここまでのスタートダッシュを切る理由になるほどとは思えない。

 

 

要素3 Cygames

意外と侮れない要素。開発元に信頼があるというのはいいことである。Cygamesからリリースされたゲームを見ると、アイドルマスターシンデレラガール、グランブルーファンタジー、Shadowverse、プリンセスコネクト Re:Diveなど、ヒット作を次々に出している。いまいち波に乗り切りかなった作品もあるが、どの作品もリリース当初はある程度の話題性があったことを覚えている。触るキッカケを作りやすいという意味ではこれ以上ないファクター。

 

 

要素4 レースの演出

このゲームが、プレイヤーが操作するというゲーム性を殺したことによって獲得した要素。同種のパワプロシャニマスと違うところ。それは本当にレースをするということ。それを可視化していることに意味がある。たとえスキップできるとしても、そこに映像が用意されているという事実を知っていればいい。それによって、自分が育成したウマ娘は実際に走ったんだという実感が得られる。レース中にプレイヤーの介入がないことにより、ウマ娘自身が走ったことを感じ、プレイヤーはウマ娘を応援する立場に置かれる。それが自分で育てたウマ娘ならなおのこと愛着が湧く。人を惹きつけるという点において、とても有効な要素だと言える。

 

プレイヤーを適度な時間拘束し手放さないというのがソシャゲの鉄則である以上、育てたキャラに愛着をもたせるというのは大きな要素であると言える。

 

 

要素5 逃げ道がある

ややネガティブだが、これはSNSで拡散するのに大いに役に立つ。女の子が写ってるスクショばっか貼るのはやはり躊躇われるものがある。しかし、そこにちょろっと競馬知識をひけらかす文章を盛り込んでおけばなんとなくキモい感が薄れる。これはメインターゲットのオタクには嬉しい要素だ。SNS上にスクショが貼られるというのは、ソシャゲにおいて一番効果的な広告になる。なにせプレイしてる人間がいるよと言っているのだから。これを気軽にやってもらえるのは非常にデカイ。もはや大人気でみんなプレイしてるので、臆する必要はなくなったが、最初動では大いに役立ったと思う。実際そういう感じでツイートしてる人見た。

 

 

今思いついた順にヒットした理由、その要素について書き連ねたが、やはり大きいのは4番かなと思う。頑張って育ててレースに勝ってきたキャラには愛着が湧くものだ。スタートダッシュのみに関しては5番が効いてると思う。

 

ここまで売れたウマ娘プリティーダービーの最初の勝負は、ギルド戦追加のタイミングだろう。現在いまいち意義を見い出せないサークルシステムは、ギルド戦追加の布石だと思う。ゲームの雰囲気が壊れやすい要素だが、Cygamesは追加せずにはいられないと思う。どれだけうまくやるかが鍵になると思う。

 

色々と言ってきたが、私もなかなかうまくいかなかったテイエムオペラオーが最後まで勝てたときは嬉しかったし、それなりに愛着が湧いた。こいつを使ってやりたいと思った。しっかり術中にハマっている。ウマ娘たーのしー!今日から誰育てよっかなー。

 

 

 

 

でもハルウララを勝たせるのは、元ネタのアイデンティティを奪ってしまうようで複雑です。